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調査結果50%

2015年3月の東日本大震災関連ニュースについて、
某メディアでは『
現在、避難者の帰還者数は半数にとどまる厳しい現実が浮き彫りになりました
と報道していました。
このニュースを聞いたとき、少々乱暴な結論付けなのではないかという印象を受けました。
一般的に東日本大震災関連ニュースではネガティブな内容が多いため
このニュースから私の印象はむしろ”半数の人が生活再建のメドができている、確実に復興は
進んでいる”というものでした。

普段、定量調査の集計結果で50%と出た場合、このスコアをどう受け止めるか非常に難しい
ものです。
この業界に入って間もない頃、先輩に『
購入意向50%をどうして高い(低い)と言えるの?
その根拠は?
』と指摘され、冷や汗をかいたものです。
そう指摘されて根拠がいえなくては説得力のないものになってしまいます。例えば、
・200万円の車の購入意向50%は高いのか?
・100円のチョコレートの購入意向50%は高いのか?
簡単には判断できないのではないでしょうか?

クライアントや担当者に納得してもらうには、
・過去データと比較する
・競合商品と比較する
・属性で比較する など、
何かしらの基準を示すことがポイントになるかと思います。
また、究極的には分析者自身の価値観による判断が求められるかもしれません。

前記のニュースではどうして『厳しい現実』なのか、その根拠は示されませんでした。
阪神・淡路大震災と比較した結果でしょうか?
100%帰還することが善ということでしょうか?

阪神・淡路大震災との比較では詳細なデータがないのが残念ですが、
震災直後、東日本大震災で東北3県では阪神・淡路大震災よりも約10万人多い避難者数でしたが、
4ヶ月後には阪神・淡路大震災と同程度の避難者数となっています。
これが阪神・淡路大震災よりも厳しいのか、改善されたのか判断は難しいのではないでしょうか?



出典:内閣府より
http://www.cao.go.jp/shien/1-hisaisha/pdf/5-hikaku.pdf


また、この場合、判断材料として世帯主の年齢、または今後の生活基盤の意向などを考慮するすべき
ではないでしょか。
例えば、データが少々古く、調査対象者が限定的で、サンプル数も少ないのですが、地方自治総合研
究所の2011年7月号の調査結果を見ると、
50代以下では「震災前の地域に戻りたい」+「出来れば戻りたい」は7割強で、1割強は帰還することに
消極的です。

出典:地方自治総合研究所より

http://jichisoken.jp/publication/monthly/JILGO/2011/07/aimai1107.pdf


福島県避難者意向調査では「被災当時の居住地と同じ市町村に戻りたい」は5割以下です。



出典:福島県避難者支援課 福島県避難者意向調査より

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/113135.pdf


宮城県の県外避難者ニーズ調査では「震災前の居住地と同じ市町村に戻る」は24%です。

出典:宮城県 県外避難者ニーズ調査より
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/294336.pdf

こうしたデータを見ると、『100%帰還することが善』とはいえないのではないでしょうか?
これらの調査の他の結果を見ると、健康状態、経済面などで厳しい現実があることが事実ですが、
こうしたデータを提示してこそニュースの説得力があるのではないでしょうか。


2015.8


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